しばらくして稲光はおさまり、遠くの方でゴロゴロと雷の音が鳴るだけになった。
けれど、雨と風は一向に、やむ気配はない。
晴斗は部室のドアから、外を確認しながら言った。
「ずっと、ここにいる訳にはいかないし、今から家に帰ろうか?」
正直、まだ雷が怖い。
けれど、晴斗の言うとおり、ずっとこの部室の中に留まり続ける訳にもいかない。
それに、晴斗は私と違って全身濡れていて、また風邪を引いてしまうんじゃないかと心配だった。
晴斗は、難しい顔の美咲の前で目線を合わせてしゃがむと、気遣うように「どうしたの?」と言った。
「まだ、外に出るのが怖い?それなら美咲の気持ちが落ち着くまで、もうしばらくここに居よう?」
「へ、平気…だよ」
素直じゃない美咲が平気と言うと、逆の意味になる事、晴斗にはすっかりお見通しのようだ。
「今、強がったでしょ?」と、クスクス笑われた。
「俺が側にいる。大丈夫だから」と優しい顔で囁かれ、「ね?」と、手まで取られると、雷も鳴ってないのに、もう一度その首に抱きつきたくなった。
美咲は、赤くなってしまう顔を悟られないように俯きながら、晴斗の手を引くように立ち上がった。
「私は本当に大丈夫。だから、早く帰ろう」
そして、晴斗と美咲は互いの手を握ると、どしゃ降りの中を駆け出す。
すぐに冷たい雨と風が容赦なく、全身に打ち付けてきた。
晴斗は、繋いだ美咲の手を自分の上着のポケットの中に入れてくれる。
その中で絡まる晴斗の指は暖かくて、美咲は自分の家に着くまで、寒さも怖さも感じずにいられた____

