意地悪な兄と恋愛ゲーム


 切実な晴斗の言葉。

 美咲はしばらくの間、晴斗の胸に顔を寄せ、ジッとしていた。
 

 やがて耳に届いてくるのは雷の音ではなく、晴斗の少し速い心音だけ……


「俺の事、雷よりは怖くない?」


 晴斗が、少し不安そうに聞いてくる。

 雷と自分を比較してしまう晴斗がおかしくて、美咲はクスッと笑ってしまった。  


「どうかした?」と、晴斗が聞いてくる。


「ううん、何でもない。晴斗の事は怖くないよ…」


 そして、美咲はそのまま、ゆっくり目を閉じる。


「そっか…」


 晴斗が胸の底からホッとしたように息をついたのが分かった。


「それから、図書室の時の事もごめん。もう、あんなふうに、無理矢理触れたりしない」


「晴斗…」


「あの日からずっと、美咲とどう接したらいいのか分からなかった。でも俺の気持ちは何も変わってないから」


 それを表すかのように、美咲を包む今の晴斗の胸は、優しい温かさに満ちていた……