「そ、そうだ!」
床を手で探る。
すると、先程の雷の衝撃で落としてしまった携帯電話を見つけた。
ボタンを押すと画面が光り、少しだけ安心する。
「良かった……」
けれど、電池の量はかなり減ってきていた。
「これも、いつまでもつのかな……」
電源が切れてしまったら、自分の居場所を誰にも伝えられなくなってしまう。
そしたら今度こそ、誰にも居場所を教えられないまま、この真っ暗な空間に一人ぼっち。
明るい画面の上にポツリ、ポツリと、水滴が落ちていた。
私、泣いてる。
もう一度、晴斗の顔が頭に浮かんだ。
晴斗はやっぱり、おかしそうに笑っている。
けれど、私を見つめるその笑顔はなぜだか温かい。
晴斗の深い愛情で溢れているようにも思えた。
まるで奈落のような暗闇で、力強く照らし出してくれる一本のロウソクのように……
「何でかな…」
いつも憎たらしかったはずなのに、遠ざけたくて仕方なかったはずなのに、今はバカみたいにその晴斗に会いたいと思っている自分に気がついて、更に泣けてきてしまう___
「晴斗……」
こんな事になるのなら、晴斗の携帯番号、ちゃんと聞いておくんだった。
『兄妹なら、互いの番号を知っておくべきじゃない?』
晴斗はあの時、そう言ってくれたのに
『別に?仲が悪い兄妹だっていると思うし。私達がいい例でしょ?』
私はまた、意地を張って遠ざけた。
晴斗は昔と違って、今は私に歩み寄ってきてくれてるのに、私はいつも強がって、仲が悪いって決めつけて……
「ごめん……」
お母さんの言うとおり、私はいつまで兄妹喧嘩を引きずるつもりなんだろう。
あんなに拒まれ続けたら、さすがの晴斗も愛想を尽かすよね。
「もう、私を見て笑ってなんてくれないよね…」
晴斗の温かなロウソクの炎を吹き消したのは私なのに、今更会いたいだなんて……
画面を拭くためにハンカチを取り出そうとポケットを探った時、ヒラヒラと小さな紙が、落ちていった。
それは図書室で、晴斗の番号をメモした時の紙だった___

