意地悪な兄と恋愛ゲーム




一時間後___


 外は陽が落ち、雨風がうなるような音をたてていた。

 部室の天井に吊された電球が、どこからか入ってくる隙間風にユラユラと揺られている。



 どうしよう……

 誰も出ない……
 

 部室に閉じ込められた美咲は、ありとあらゆる友人に、助けを求めて電話をかけたが、週末の夜は誰も出なかった。


 皆、どこに行ってるの?

 こんな天気なのに、忙しいの?
 

「誰か一人くらい、出てくれたっていいじゃない!!」


 大きな声で叫んではみるものの、美咲の声はあっけなく、外の嵐の音にかき消される。


「もう、誰でもいい。さっきの部員の誰か、忘れ物とか取りにきてよ…。こんな日に、誰も来てくれないか…。あぁ、どうしよう…」


 こんなバカな事、考えなきゃ良かった…。と、美咲は小さな丸椅子に腰かけて、頭を抱えた。


 仮に、この状況で誰かに助け出されたって、何て言えばいいの?

 晴斗の着替えを隠し撮りしようと忍んでいたら、閉じこめられましたって…?


 きっと学校一、おバカな晴斗ファンって思われるよね?

 そもそも、私はファンなんかじゃないから!


 こんなに切迫詰まった状況なのに、その晴斗の顔が頭に浮かぶ。


 私を見て、クスクスとおかしそうに笑う。


 また、私をバカにしてる。

 ううん。実際にはもう、晴斗は私に興味がないんだっけ?


 うっすらと目が潤んできた。

 え?私、もしかして悲しいの?


 きっとこの、追い込まれた状況のせいで、心細いだけだよね?



「うぅっ…!早く、帰りたいよ……」



 何度目か分からないため息をついたときだった____