意地悪な兄と恋愛ゲーム


「あ~、疲れた」


「早く着替えて、飯行かね?」


「いいね、行こうぜ!」


 数人の部員の声が聞こえてきて、手元の画面を素早く、動画モードに切り替えた。

 ボタンを押せば、いよいよ撮影スタート。

 狭い視野の中、必死になって晴斗の姿を探した。


 あれ?何だか、いつもより部員が少ないような…

 そう言えば今日は、フェンスの前に女の子が一人もいなかった気がする…


「……にしても、このメンバーで自主練って、張り合いないよなぁ~」


 部員の一人が着替えながらため息のような声をもらし、美咲はそちらに耳を傾けた。


「しゃあないだろ…。スタメン組みは今日も、試合行ってんだから…」


「俺ら補欠組は、地道に努力しかないよな~」


 補欠…組?


「にしたって、今日のフェンス前、何だよありゃ!」


「晴斗先輩がいないと、女子誰もこねーとか、もう泣きたくなるぜ!」


「本当、女って分かりやすい生き物だよなぁ…」



 えっ……

 今日、晴斗いないの!?
 
 まさか私、やらかした?


 蒸し暑いロッカーの中だというのに、首筋から冷たい汗がタラリ…


 そう言えばお母さん、週の初め頃、なんか言ってたような…



『土曜日、晴斗はまた、試合なんですって』



「!!?」


 衝撃の事実を思い出した美咲は、動揺のあまり、ガタン!と、ロッカーの中で身体を揺らしてしまった。


 
「……な、なんか音したよな?今」



ヤ、ヤバっ…!!