意地悪な兄と恋愛ゲーム




 ドアの向こう。

 美咲の足音が次第に遠ざかり、自分の心音だけがうるさい音をたてている……


 晴斗は脱衣室のドアに寄りかかり、深く息をついた。


 本当は、明日の夜が不安で仕方がない。

 美咲を夜、この家で一人にさせる事が心配で、母さんに明日の夜は帰ると何度も伝えたけど、美咲が一人でも大丈夫だと言い張ったらしい。


「分かっていたけど、嫌われてるな…」




 この手で、美咲に触れたい____


 それはついこの間まで容易い事だったのに、図書室での日を境に、美咲にどう触れたらいいのか分からなくなった。


 美咲の瞳からこぼれ落ちる、大粒の涙。  

 俺が少しでも触れたら、また傷つけてしまいそうで。



 恋しい気持ちばかりが真っ白な雪のようにつのっていって、この胸を容赦なく、締め付けてくる。

 こんなに側にいる、だけど途方もなく離れているように感じてしまう。

  

 燻る想いは、行き場もなく、晴斗の心の中を彷徨い続けていた____