意地悪な兄と恋愛ゲーム


「美咲、おはよ!」


 学校の門を抜けると、優香に肩を叩かれた。


「優ちゃん、おはよ!」


 美咲と優香はクラスは違うが、中学の時から仲の良い親友だ。

 優香の一つ上の兄は中学の時、サッカー部のキャプテンをしていて、そこから、美咲も当時、好きだったサッカー部の先輩と繋がりを持った。


「どうしたの?何かあった?」


 優香は心配そうに、隣から美咲の顔を覗き込んだ。


「え、別に、何でもないよ?」


「そう?いつもより元気なくない?目の下にクマ、出来てるよ?」


「気のせい、気のせい。私だよ?そんな繊細な性格に見える?」


 友達としての付き合いが長いから、優香には何でも見抜かれちゃいそう。

 でも、晴斗の事で悩んでるなんて、そんな事を言い出す自分が気持ち悪い。

 つい先日まで、晴斗が嫌いで嫌いで仕方なかったのに、今は、そんな晴斗の事で眠れない日が続いているなんて…

 昨日の図書室での事はもう気にしないと、張り切って家を出てきたのに、そんなに顔に出てるかな?

 晴斗はどうだろう?

 昨日の事、気にしているだろうか?

 次に晴斗に会ったら、どんな顔をしたらいいんだろう?


「まぁ、美咲が目の下にクマ作ったのは、中学時代、先輩を好きになった時だよね?」

「そうだっけ?」

「ドキドキしすぎて、家に帰ってからもずっと先輩が頭から離れてくれなくて、眠れなかったー!って言ってたじゃない?」


 片思いの段階でこれって

 頭のつくり、単純過ぎない?自分。


「分かった!って事は、また新たに好きな人が出来たんでしょ?」


「ち、違うよ!そんな事あるわけないし!」


 晴斗と先輩を一緒にしないでと、思わず叫びそうになって、口を紡ぐ。

 でも、予想以上に大きな声が出たせいか、優香が目の前で若干引いている。


「そんな否定しなくても、ちゃんと聞こえてるよ?」


「あ、ごめん…」


「違うか…。美咲は色気ないんだから。せっかく、美咲が飛んで喜ぶような話を持ってきのにな…」


「な、何?」


 美咲が食いつくと、優香はウフフと笑みを深める。


「実は昨日、駅前で先輩に会ったの!」


「え、先輩って?」


「決まってるじゃない。美咲が中学ん時好きだった、水瀬颯太先輩!」


「嘘っ!?」


 美咲は驚きのあまり、口元を押さえた。