美咲の幸せを想うのなら、俺が今すぐ離れてやる事が正しいのか?
この一ヶ月のゲームが終わるまでは、それだけはしないと心に決めていたのに、よく分からなくなる。
俺は、自分で思っていたよりもずっと、美咲に惚れているのかもしれない____
晴斗は深く息を吐き、手の中で握りしめていた小さな鍵を眺めた。
美咲が今日、施錠するはずだった図書室の鍵。
図書室で初めて美咲を見た時の事を、昨日の事のように思い出せる。
大好きな本に夢中の時の、幸せそうな柔らかな微笑み。
あの日から美咲が、頭の中に鮮明に刻みついて離れない。
勝手に胸が高鳴って、授業中も、部活中も、美咲の教室の前を通る時も、気付けばいつも美咲の事を想っていた。
美咲を小さな瓶に入れて、いつでも持ち歩けたらと思う程、俺はずっと美咲を自分のものにしたかった___
誰でもない、自分の手で、美咲を幸せにしたい。
もっと、もっと、笑っている顔が見てみたい。
けれど今日、あんなふうに傷つけて、泣かせて、絶望的な気持ちにさせて……
結局俺は、美咲を怒らせたり、悲しませる事しかできなかった____

