えっ……
美咲は一瞬、自分の身に何が起こったのか分からなかった。
背中に何かがぶつかる衝撃を感じて、目をギュッと閉じた。
次に開けた時、美咲の両手首は晴斗の手によって、後ろの本棚に強く押し付けられている。
正面には、真剣な顔つきで迫ってきている晴斗がいて___
「一体、どこへ行くつもり?」
晴斗は、苛立ったような顔で言った。
「あの子達に、俺の居場所を知らせたい?それなら、このまま俺達を、見せつけてあげよっか?」
そして晴斗は躊躇いもなく、美咲の唇に自分の唇を強く押し付けてきた。
「んっ…んんっ…」
う、嘘でしょっ____
「なっ、なに?今、声がしなかった?」
女の子達の怖がるような声が背後の方から聞こえて、美咲は身体を固くした。
きっと、何列か後ろの本棚まで、迫って来ているんだろう。
晴斗も、その事に気が付いているはずなのに、唇を繋げたまま離そうとしない。

