「美咲は登録してくれないの?俺の番号」
「私の生活に晴斗の番号は必要ないもん」
「兄妹なら、互いの番号くらい知っておくべきじゃないかな?」
「別に。仲が悪い兄妹だっていると思うし。私達がいい例でしょ?」
「まぁ、いいけど。1ヶ月後に俺達は、兄妹以上の関係になるんだから」
兄妹以上の関係?
それを素直に想像して、背中にゾクゾクと悪寒が走った。
「ね、ねぇ、本気で1ヶ月間やるつもりなの?」
「もちろん。美咲が途中で俺を好きになれば、すぐにでもやめてあげるけど?」
「はっ?」
「どう?少しは俺に、気持ちが傾きかけてきた?」
「バカじゃない?晴斗なんて、大嫌いなままだよ!」
「いい意味として受け取っておくね」
ふふふと、楽しそうに笑う晴斗。
全く、どこまで、おめでたい男なんだと、呆れてきてしまう。
「どうしてそんなに自信家でいられるの?私に突然、彼氏が出来るかも知れないじゃない。そしたらこのゲームは、なかった事になるんだよね?」
「そうだね。美咲が俺の前にその男を連れてきて、その男が美咲の事を、俺がしてやる以上に幸せに出来そうだと思ったら、諦めるかな」
「えっ、ほ、本当に!?」
「今、良からぬ事を考えたでしょ?」
「……ぅ」
「誰でもいいから捕まえて、俺に認めさせようとは考えないでね。俺の前で、相手とキスを100回する事が条件だから」
美咲の浅はかな考えなど、まるで通用しないと言うように、晴斗はニコニコと、いつもの笑顔で言った。
「俺以上に美咲を想っている男は、この世界のどこを探してもいないと思うけどね」
「そんな事分からないじゃない!それに晴斗だって、一ヶ月の間に、私なんかよりも、すごくいい子が見つかるかも知れないし!」
「美咲は俺の心配はしなくていいよ。俺の目にうつるのも、俺の頭に浮かぶのも、俺の心を奪うのも、美咲以外あり得ないから」
晴斗は、当たり前のようにそう告げる。
お、重い……
美咲の身体は鉛のようになった。
「それで、図書委員さん?天体の本は、どの辺りにあるのか案内してくれない?」

