「もうすっかり良くなった。何か食べるものがないか探しに1階におりたら、母さんが美咲がお粥を持っていったって教えてくれたんだ」
「そ、そうなんだ…」
「どうして、廊下ですれ違わなかったんだろう。不思議だね」
ニコニコとした晴斗の表情に、美咲の顔が再び引きつる。
この人絶対、私が隠れてた事に気付いてて言ってる…
「それより、美咲は風邪、ひかなかった?」
「え、私?」
「うん。昨日、風邪をうつしてしまったんじゃないかって、心配してたんだよ」
昨日の玄関でのキスを思い出した美咲は、カァッと顔を赤くさせた。
「わ、私に近付かないで!!」
美咲は慌てて、晴斗から距離を置くように、窓際に逃れた。
「私の半径1メートル、絶対に入ってこないで!」
「その様子だと、大丈夫そうだね」
「全然大丈夫じゃない!な、何であんな事したの!?」
「あんな事ってキスの事?」
言葉にされると恥ずかしくて死にそうだ。
晴斗がいた海外では挨拶程度かも知れないが、日本では重みが違う。
少なくともキス未経験者に、あんな強引なキスはあり得ない!
「俺がキスをした理由、まだ知りたいの?」
意味ありげに笑みを深めた晴斗。
その笑みに危機感しか持てず、慌てて首を横にふった。
「し、知りたくないけど、急にあんな事するなんて酷いじゃない!」

