意地悪な兄と恋愛ゲーム


「私だって、出て来てくれないと思う。だから無理なものは無理!」


 冷たく言い放つと、母は悲しそうに眉を下げた。


「そんな事言わないで、行くだけ行って見てくれない?美咲でも駄目ならその時は諦めるから。とにかく昨日の夜から何も口にしてないから、何か食べさせないと…」


 目の前で、母が晴斗の為に作った出来たてのお粥が、白い湯気をたてている。


「………」


 私が行かないと、このお粥、無駄になっちゃうかもしれないんだよね…


「これ、持って行くだけでいいんだよね?」


「そうよ」


「本当に置いてくるだけだからね?」


「当たり前よ。他に何をするっていうの?」


「……………」


 色々あるんだよ、あの男には色々とね!


 まぁでも、熱々のお粥を持ってる私に、何かを挑むようなバカな真似は流石にしないと思うけど…



「……分かった」