晴斗は、はぁ…と、深く息を吐いた。
ドキドキドキと、さっきから心臓の鼓動が忙しく動く。
これは風邪のせいなんかではなく、きっと美咲のせい。
美咲と再会したあの日から、俺は狂ってしまったから。
自分はもっと、まともな方だと思っていたのにな。
真っ暗な部屋の中……
カーテンが開かれたままの窓から、夜空が見えた。
分厚い雨雲に覆われて、星一つ瞬かない空だった。
ゆっくりと瞼を閉じると、数カ月前、学校の図書室にいた美咲の顔が頭に浮かんだ。
本が好きな美咲は、放課後は図書委員の仕事の傍ら、毎日、本を読み耽っているのを知っている。
だから今日のような大雨の日、せっかく借りた本が濡れてしまうと、美咲は悲しむと思った。
幸せな気持ちになったり、苦しくなったり、美咲の存在はいつも俺の心を惑わす。
それはまるで、気まぐれに天候を操る、この空のように___

