意地悪な兄と恋愛ゲーム



 慌ててポケットをまさぐると、グチャグチャに丸まったメモ紙が出てきた


 えっと、ナニナニ?


1、寝顔か、生着替えの撮影……!?

2、連絡先を聞く……!?

3、思い出の品をゲット……!?



「む、無理だ…、こんなの無茶すぎるよ…」


 只今、絶賛逃走中なのに、わざわざ敵の懐に潜り込みに行くなんて自殺行為でしょ。

 しかもこれは、一歩間違えれば、好意と勘違いされる行為じゃない?


 冷や汗がタラタラタラタラ…


「あ、あのさ…やっぱり…」と、真美を見上げれば、真美は「出来ないなんて言わせないから」と満面の笑みを向けてくる。


「うっ…」


 昨日の告白の後に聞いてたら、こんな約束絶対に断ってたのにぃ…

 タイミング悪すぎだよ。


 美咲の悲壮感漂う顔色の悪さに気がついたのか、真美が真面目に聞いてきた。


「ってか、普通に気になってたんだけど、何で美咲は先輩が嫌いなの?」


「トラウマなの。小さい頃に意地悪されてからずっと…」


「意地悪?あの先輩が?」


「あの先輩が!」


「いまいち信じられないけど、意地悪ってどんな?」


「髪引っ張られたり、押し入れ閉じ込められたり、あと、大切にしてたおもちゃ壊されたり…」


「そんなの、兄弟、姉妹間ではよくある事じゃん?私も2個上の姉の人形、ちょっと触っただけなのに、頭ハゲるくらい髪引っ張られたよ。でも今は、普通に仲良し」


「私は離れていた暮らしてたから、ほとんど他人みたいなものだもん」


「でも、今は優しいでしょ?先輩」


「そ、そんなの分かんないじゃん?優しそうなフリしてるだけで、また私を虐める気かも」


「そうかなぁ。美咲、あまりに先輩が嫌いすぎて、今の先輩ちゃんと見てないんじゃない?」


「嫌いな人、わざわざ見る必要なんてないし」


「そんな事言わずに、サッカー部の先輩の姿とか、ちゃんと見てみなよ。あんたの考えがどんなに子供みたいか分かるはずだからさ」


「じゃ、約束お願いね〜」と肩を叩かれて、真美は行ってしまった。


 私の考えが子供?

 そんなわけ、ないじゃない。

 私が何年たっても晴斗が苦手なように、人ってそんなにすぐに変わるものじゃないんだから。