心臓をギュッと強くつねられたような気持ちになった。
美咲が、颯真と付き合ってないどころか、あの日追いかけに行ってもないなんて。
「どこかで…泣いてた?」
何で?
俺は、美咲の幸せを一番に考えたはずなのに、何で?
「いいか!美咲ちゃんが好きなのはお前!昔は俺だったけど、今はお前なの!あの子はもう、お前じゃなきゃ駄目なの!」
目の前で真っ直ぐに告げられて、頭の中が更に困惑した。
だって、美咲はあんなに颯真といるのが楽しそうだった。
時折、頬を染めて幸せそうな表情もした。
俺は、美咲のそんな顔を見たことがなかった。
だから…
「晴斗はさ、美咲ちゃんを俺に譲る気だったんだろ?でも、言っておくけど、俺はそんな事はしないから。お前との友情が壊れたって関係ない。俺は美咲ちゃんを一度手放して後悔してる、失う辛さを知ってる」
でも、これだけは分かる。
俺の前に、美咲を本気で愛し抜く覚悟をした男がいること。
「なぁ、美咲ちゃんはもうお前の近くにいるよ。また遠ざける気なら、今度こそ俺がもらう。いいんだな、それでも!」
俺はその男に、美咲を呆気なく譲ろうとしていること。
俺が最初に美咲を愛そうとした覚悟は、こんなに脆いものだった?
美咲に迷惑がられたり怒らせたって関係ないって思っていたはずだ。
俺は俺の気持ちにずっと貪欲だったはずだろ?
「駄目に決まってるだろ!」
心を縛り付けていた鎖を、解放するように気がついたら叫んでいた。
美咲が、他の男のものになるなんてあり得ない。
指一本だって、触れられたくない。
何度も可愛いと思った百面相も全部、俺のものにしてみせる。
この一ヶ月のゲームが終わる前に………!

