「美咲さぁ、最近また元気ないよね…?」


 あの日から数日後の学校帰り、優香に誘われて美咲は学校近くのファミレスにいた。


「そうかな?」


「誤魔化さないでよ。今の美咲の顔、前回と比べようがないくらいヤバイから」


 前回っていうのは、あの図書室の時の事。

 晴斗の前で涙を流して、晴斗を傷つけてしまった。

 晴斗にもう愛されないのかもしれないと不安が拭えなかった。


 ずっと私は、自分の気持ちに気付けなかった。

 だけど、あの時からもう、立派に晴斗の事が好きだったんだと分かる。


 晴斗は戻らない今になって、どうして気づいてしまうんだろうと、切なくて目尻にジワリと涙が浮かぶ。



「ねぇ、あんまり食べてないんでしょ?」


「うん…」


「だったら、今日は食べて元気だしなよ」と、優香はメニューを差し出してくる


「この前バイト代出たから、おごるよ。甘いものでもガツン系でもドンと来い!」


「優ちゃん…」


「これは親友の厚意なんだよ?断る理由なんてないでしょ?」


 優香が笑顔で励ましてくれる。

 中学の時、私が先輩にふられた時もそうだった。

 校門で私が来るのを待っててくれて、泣いてる私を優しく抱きしめてくれたんだよね。


「ありがと、優ちゃん…」


 優ちゃんには晴斗との事、何も話してないから、


「優ちゃんが親友で良かった」


 ちゃんと、話そう…


「あのね、聞いてくれる?」