意地悪な兄と恋愛ゲーム




「晴斗君、今日はありがとう!これでまた、受験勉強頑張れそうだよ?」


 別れ際のカフェの前。

 退店の時間も晴斗達とかぶってしまった美咲は、颯真が隣にいるっていうのに、晴斗と真由が気になって仕方がなかった。

 だってまた、晴斗は腕を組まれている。


「そっか、真由ちゃんの息抜きになったのなら良かった」


 あの笑顔、どうして誰にでも見せちゃうのかな。

 晴斗が、よくある小説の中にいるツンデレキャラなら良かったのに…

 八方美人め…と、美咲は心の中でそっとため息をついた。


「…美咲ちゃん?」


 はっとする。

 どうやら、颯真からずっと声をかけられていた事に気づいてなかったらしい。

 
「はっ、はい!」


「どうしたの?あの二人が気になる?」


「いえ…」


「ごめんね。うちの妹、今晴斗に夢中で。美咲ちゃんには色々失礼な事言ってたよね」


「…私が晴斗を良く思ってなかったのは本当ですから、気にしないで下さい」


「でも…」


 また、隣から声が聞こえる。


「晴斗君、次はいつ、うちに来てくれる?」


「ん〜、どうかな。都合がついたらね」



「ねぇ、美咲ちゃんは、どうして晴斗を嫌がってたの?」


「それはですね、昔…」



「ねぇ、お願い!なるべく早くね?真由、晴斗君に会えなかったら淋しくて死んじゃう〜!」


 だ、駄目だ…。

 あの二人が気になって先輩との会話に集中出来ない…。


「おい、真由!お前な、死にたくなるくらい晴斗が好きで、勉強に身が入らないなら、母さんに言って塾増やしてやるよ!」


 ついに颯真が二人の間に割って入っていき、真由の首根っこを掴む。


「来い、帰るぞ!」


「ちょっと離してよ!帰りは晴斗君にうちまで送ってもらうつもりなのに!」


「俺だってそのつもりだったのに、お前のせいだからな!」


「は?一体どういう事?」


「じゃあな、晴斗、美咲ちゃん」


 納得出来てない真由を引き連れて、颯真は手を振って行ってしまった。


「…行っちゃった」


「うん。俺達も帰ろうか」