意地悪な兄と恋愛ゲーム



「俺、好きな子いるから」


 その瞬間、晴斗と目が合った。

 嬉しかった。

 まだ、私を想ってくれてるんだと、ほっとした。


「そ、そうなの!?」と、真由は凄くショックを受けた様子だった。


「晴斗君の好きな人、どんな人?かわいい?」


「かなりかわいい。それに、俺にはもったいないくらい美人で、すごくいい子」


 美咲は口に含んでいた紅茶を吹き出しそうになった。


 俺にはもったいない美人って、絶対言い過ぎ。

 でも晴斗が、真由の前で自分を特別だと言ってくれたように感じて、喜びが溢れた。


「そこまで好きなの?あぁ…、ショック」と、真由は力なく脱力し、泣きそうな顔になった


「晴斗君はね、真由の初恋なんだよ?私、諦めないから」


「お前、しつこい…」と颯真はため息をつく。


「だって、初恋の相手って特別だもん。簡単になんか諦められないし、忘れられないもん…」


「それはそうだけど…」


 美咲は、斜め前に座る晴斗をこっそり見つめた。

 晴斗は美咲の視線に気がつくと、こっそり口角を上げてくれた。

 美咲も少しだけのぎこちない笑みで返した。


 二人だけの秘密のやり取りに、頬がやたら熱い。


 あんなに悩んでたのが嘘みたい。

 今ではすっかり見慣れた晴斗の顔も、好きを意識した瞬間、特別なドキドキに変わる。

 晴斗って、こんなにかっこよかった?


 俺にはもったいないくらいの美人。


 その意味が、今、分かったような気がした。