意地悪な兄と恋愛ゲーム



「妹さんって、どうして晴斗君の事嫌ってるんですか?」


 着席早々、容赦のない真由からの一言。

 鋭く突き刺さる視線。

 晴斗を傷つける人は、皆敵とばかりだ。


 「あの夜、飛び出して行った時の晴斗君、本当にあなたの事、心配した様子だったから。あんなに大切にされてるのに、晴斗君を嫌ってるなんて信じられなくて」


 颯真が呆れたように口を挟む。
 

「真由、人の兄妹事情を詮索するなよ。人が人のどこを嫌ったり、惹かれたりするのかは、人それぞれなんだから」


真由は憤ったように眉をつり上げた。


「何よ、分かったような事言って!中学の時、好きだった子への気持ち、後になってやっと気づいたくせに!」


 初耳だった美咲は思わず口を開いた。


「えっ、先輩。あの頃、好きな子がいたんですか?」


「あー、うん。それっぽい…」と、颯真は恥ずかしそうに口元に手をやる。


「そう、だったんですね。私、知らなくて…。もし、あの時から迷惑だったなら…」と、美咲が詫びようとすると、颯真は慌てたように言った。


「あー、やー、そうじゃなくて。中学の時、気付けなかったんだけど、俺の好きだった人って、実は美咲ちゃんだったんだよね…」


「えぇっ!急に、どうしたんですか?」


「急ってわけでもなくて、中学を卒業してから気付いたんだよ。でも、今更どうこうする気もないってずっと思ってたんだけど…、今日こうやって再会できて…」


 晴斗がすかさず口を開く。


「あのさ、俺の前で堂々と、美咲を口説くのやめてくれない?」


「何で?晴斗は美咲ちゃんとは兄妹なんだから、別に関係ないだろ?」


「そうだよ、晴斗君!それよりも、真由が高校受かったら、次は真由からお礼させて欲しいな?」


 真由は、席から身を乗り出し、向かいに座る晴斗を熱く見つめる。


「晴斗君は何が好きなの?食べ物でも場所でもいいから、晴斗君の事を色々教えてくれる?」


「いいよ。気にしなくて…」


「真由がしたいの!」


「お前な、自分の気持ちがだだ漏れてるぞ…」


「晴斗君、今、彼女いないんだからいいじゃん!ねぇ、真由が頑張って晴斗君と同じ高校入れたら、真由を彼女にしてくれる?」