「私、この怪我が治ったら、先輩に言おうって決めてたんです。先輩の事が好きだって……」
彼女は、指先をモジモジと絡めて晴斗に視線を送る。
「先輩がサッカーに集中したくて、今は彼女も好きな子も作る気がない事は知ってます。だけど私、真剣に晴斗先輩が好きなんです!」
そして、上目遣いで、晴斗を見つめた。
「先輩がサッカー一筋でも構いません。先輩が少しでも私を見てくれたならそれでいい。わがままなんか言いませんから、だから、私と付き合ってくれませんか?」
好きな先輩に告白か……
中学時代、私も、好きだった先輩に告白したなぁ…と、美咲はぼんやりと思い出す。
見事にふられたけれど、卒業式にボタンをもらって、今でもその時にもらったボタンを小箱に入れて大切にしている。
彼女みたいに告白出来ていたら、何か変わっていたのかなぁ…。
だって、目の前の彼女は、小さくて弱々しくて、でも必死で、女の私から見ても、守ってあげたくなるくらいに可愛いから…
そんなの、男なら断るはずがないもん___
「ごめん」

