「美咲ちゃん、あの時のまんまだね。変わってないなって、ちょっと安心した」
「食べる事ばっかりみたいに言わないで下さい?私だって、少しは成長してるんですよ」
「そうだね。あの時より髪が伸びてるし…」
「そこですか!?」と膨れると、颯真は「冗談だよ」と、また楽しそうに笑う。
「先輩は、少し変わりましたよね」
「そう?どの辺り?」
「昔は、部活に打ち込む先輩しか見てなかったから、真面目な印象しか持ってなかったのかも知れないけど、こんなによく笑う人なんだなぁって思ってます」
颯真は少し驚いたような顔をした後、呟くように言った。
「確かに、そうだったかもしれない。君は俺に好意を抱いてくれてたけど、俺自身が子供過ぎて、そういう事に疎かったんだ。だから、美咲ちゃんを傷つけてしまった。あの時は本当にごめんね…」
「い、いえ、いいんです!そんなの昔の事ですし、今は全然気にしてないですから!」
慌てたように、胸の前で両手を振る美咲に、颯真は少し切なそうな表情を浮かべた。
「それより先輩、私とこんなところにいて、平気ですか?」
「ん、どうして?」
美咲は少し声をひそめ、颯真に顔を近付ける。
「周り、カップルばかりなんですよ?」
「…?それがどうかしたの?」
「私なんかと一緒にいて、後で彼女に誤解されたりしませんか?」
颯真は真顔になってから、またプッと吹き出す。
「ははは…、美咲ちゃん、そんな心配をしてくれてるの?俺、彼女とかいないから大丈夫だよ」
「えぇっ、そうなんですか?すいません、意外でした。先輩、かっこいいから彼女さんがいるものだと…」

