「わぁ!美味しそう!」
フワフワの雲のような厚い生クリームの上に、はち切れそうなくらい張りのある赤い苺が乗っているのを目にして、美咲は目を輝かせた。
「先輩、頂きます!」
「どうぞ」と、美咲の向かいに座っている颯真は、ニコニコの笑顔で言った。
一口、口に運ぶと、甘い生クリームとしっとりとしたスポンジが、口の中で絶妙に絡み合う。
そして、舌の上でジワジワと一つに溶けていく。
「ん~、美味しい!!」
「気に入ったみたいだね」
「はい、最高です!」
「そういえば、今思い出したんだけど…」
「何ですか?」
「中学の時、美咲ちゃん、バレンタインにチョコレートをくれたでしょ?あの時、ちょうど部活終わりで、俺、腹が減っててさ、もらったチョコレートを食べようと包みを開けたら美咲ちゃん、今みたいな目でチョコレートを見てたよな?」
「え、そうでした?」
「うん。お預けをくらってる子犬みたいな目で見られてさ、俺その時、罪悪感に苛まれて、そのチョコ返そうと思ったんだよね」
「や、やめて下さいよ、先輩!そんな恥ずかしい事、思い出さなくてもいいんです!」
美咲が叫ぶと、颯真は、はははと声に出して笑う。

