「こっち向いてくれない?」
晴斗に言われた通り、素直に身体を向かいあわせた。
晴斗は、この部屋に差し込む朝日のように、眩しい笑みを浮かべる。
「美咲と一緒のベッドで、朝を迎えられる日がくるなんて思わなかった。だから今、最高に幸せ」
いつも自信たっぷりの晴斗のくせに、たまにこんなふうに謙虚になるから、胸が否応なしに高鳴ってしまう。
「っ…」
心を揺さぶられたまま、額に、頬に、晴斗がキスの雨を振らせてくる。
「ちょ、ちょっと、晴斗…」
くすぐったくて、戸惑いの声を上げるけれど、鼓動は脈々と速くなるのを自覚していた。
「ところで俺の事、美咲はもう好きになってくれた?」
晴斗の口から飛び出したその言葉に、心臓が一気に跳ねた。
「ま、まだ、好きとかじゃない…」
フイと目を反らしたのに、晴斗は嬉しそうに言った。
「こんなに顔は、正直なのに?」
「え?」
「美咲はすぐに顔が赤くなるから、分かりやすすぎ…」
「ちゃ、ちゃんと見てくれるようになるまで待ってるって言ってくれたじゃない?まだ、一晩しかたってないよ」
「一晩も待ったよ」と、当たり前のように腰の後ろに手を回される。
「ひ、一晩だけっ!?」
「うん、十分でしょ?」と、ニッコリと笑われて、危機感しか持てなくなった。
「わ、私、やっぱり携帯の充電をしておかなきゃ」
そう言って、目の前の晴斗から逃れようとしても、がっちりと身体を腕で固められている状態。
「言い訳して逃げようとしてもだーめ」
「昨夜の停電が直ってるか、ちゃんと確認しておかないといけないでしょ?」
「さすがにもう直ってるはずだよ。それに、今は朝だから、何も不自由はないし」
「手元のランプがつくかだけでも。今夜が心配なの!」
晴斗はしぶしぶ、腕の力を緩めてくれた。
美咲は逃げ出すように身体を起こし、ベッドサイドのランプのスイッチを押してみた。
ランプはいつも通り、光を宿してくれる。
「ついた…」

