意地悪な兄と恋愛ゲーム


 自分でも、何て大胆な発言だろうと思う。

 晴斗からずっと逃げてきた、自分の口から出た言葉だろうか___


 けれど今は、目の前の晴斗と一緒にいたい。

 その気持ちの方が強かった。


「……だめ?」


 美咲が上目遣いで見上げると、晴斗は少し驚いたような顔をしたけれど、すぐに頬を緩めてニコリと笑う。


「駄目じゃないよ」


 晴斗は美咲に優しく聞いてくる。


「じゃあ、どうやって眠りたい?」


「……くっつきたい」


 眠れない子供の、わがままみたいなお願いなのに、晴斗は美咲を抱き寄せると、そのままベッドに横になった。

 美咲の背中に回した腕で、更にギュッと自分の元へと寄せたから、晴斗の胸が間近にまで迫った。


 いい匂い……

 こうして晴斗の香りに包まれていると、ドキドキするのにすごく安心する。


「これでいい?」


「うん。ねぇ、晴斗、どこにも行かない?」


 晴斗の胸から顔を上げると、晴斗は美咲の前髪を撫でながら優しく微笑んだ。


「朝までここにいるよ。美咲が眠るまでこうしていてあげるから…」


「ん…」


 晴斗の指で髪をすかれながら、美咲は安心したように瞼を閉じ、やがてスヤスヤと深い眠りについた___




 晴斗はそんな、美咲の寝顔を見つめながら、荒ぶる感情を必死に抑えていた。

 美咲を大事にしたいって、たった今告げたばかりなのに、今にもその誓いを破ってしまいそうだ……


 今夜の美咲は、いつもとは違って従順で素直。

 守ってやらなきゃと思う反面、こんなふうに縋られたら、すぐに自分の欲望に負けそうになって、唇を噛み切りたくなる。


 そして今も、自分を追い込もうとする美咲の無防備で愛らしい寝顔に、最高の幸福を感じると同時にギリギリの理性を保ちながら、晴斗は深くため息を吐いた。


「きっつ……」


 今夜は眠れそうにない……



 こうして、二人の長い夜は、ふけていった____