意地悪な兄と恋愛ゲーム




 キスも、抱擁も、甘いその声も、嬉しすぎて泣きそうだ。


 いや、もう泣いている。


 再び涙がこぼれて、晴斗の頬の上にポツリと落ちた。



「美咲…」


「…何で、こんな事するの?晴斗は何で、こんなに意地悪なの……?」



 いつも、私の心を縛り付けて。


 ぐちゃぐちゃにかき乱して。


 胸を絞られるくらい切なくして。


 涙を止まらなくして。


 でも、嫌じゃない。


 私にだけ向けられる、真っ直ぐな晴斗の気持ちを全て、受け止めたいと思ってしまった……



「俺に、こうされるのは嫌?」


 美咲は横に首を振った。


「好きって言われるのは迷惑?」


 そしてもう一度、首を横に振る。



「…本当はずっと、こうされるのを待ってたの…」



 晴斗が堪えきれないように、再び唇を重ねてくる。



「…んっ」


 息も出来ないくらいに、何度も深く甘く、口づけられて、身体が芯から痺れていった。


 晴斗の肩に手を置いて、美咲は晴斗のキスをこぼすことなく受け止める。


 晴斗は唇を離すと、艶っぽい表情を浮かべて言った。



「そんなに可愛い事、言わないで欲しい…」



「…晴斗が…聞いてきたからっ…」



 腰に回されていた手を背中に回された瞬間、静かに床の上に押し倒されていた。

 視界が反転し、晴斗の切なげな表情が天井ごしにうつる。



「…っ、ごめん。俺、さっきからずっと我慢してたけど、もう無理かも……」


「晴斗…」


「美咲が欲しい…」



 互いを求め合うように、優しく唇同士が重なる。


 甘い甘い二人のリップ音が、月明かりが差し込む部屋の中に刻まれていく___