意地悪な兄と恋愛ゲーム



「相手がどう思っていようが、俺が好きなのは美咲だけだよ」


 だから、駆けつけて来てくれたのは分かっていた。

 だけど今更、素直になれない。


 こんなに、人に対して荒々しい感情を抱くのは生まれて初めての事で、動揺と苛立ちが抑えられない。


「そうやって、その子にも言ったんでしょ?晴斗はそういうの得意そうだし?」


「言ってないよ」


「嘘!」


「俺は美咲に嘘はつかないよ。信じて欲しい」


「騙されないから!今夜は側に居てくれてありがとう!もう、大丈夫だから出て行って!」


 口から出るのは棘のある言葉ばかり。

 こんな醜い自分、嫌で堪らないのに…


「それは出来ない」


「どうして!?」


「もう、泣かさないって言った。今の電話で誤解させて、美咲を傷つけたくない」


「別に、傷ついてなんかない。だいたい、晴斗が女の子と一緒にいたって知って、何で私が泣くわけ!?」


 晴斗は何も言わず、冷静に美咲を見つめ返してくる。

 一人で強がってしまう自分があまりに切なすぎて、涙がポロッとこぼれた。



「ほら、泣いた…」


「こ、これは、雷でっ!」


「もう、雷はなってない。雨も風もやんでる」


「…っ」


 窓の外はいつの間にか厚い雲が晴れ、月明かりが部屋に差し込んできていた。