意地悪な兄と恋愛ゲーム



 違う、違う、違う!

 ムラムラと込み上がる素直な感情に、必死に首をふった。


 こんな気持ち、絶対に違う!!

 今日はいつもとは違う、こんな夜だからだ!

 いつもなら晴斗にこんな事しないし、こんなふうに思わない!!



 心の中で、もがくようにそう言いきかせた。


 私が晴斗に、こんな感情を抱くなんてあり得ない!!



 けれど次の瞬間、晴斗に手首を掴まれてしまう。


「…どうしたの?」


 タオルの隙間から不思議そうに美咲を見上げる、その切れ長の瞳と目があって、心臓が今までにないくらいドキンッと跳ね上がった。



「……っ」


 途端に顔が上気する。

 顔を背けたい、それなのに身体が全然動いてくれない。


「何か、変だよ?」


 瞳だけをそらしたけれど、晴斗の長い首筋を辿り、白いシャツの隙間から覗く、綺麗な鎖骨を目に入れてしまった。

 逞しく美しい晴斗の身体のラインを思い出した美咲は、再び、頬を染めた。


 完璧な美貌も、均整のとれた体も、美咲の手首を握る男らしい指も、湿った綺麗な黒髪も、何もかも……


 晴斗の全てが、美咲の鼓動をおかしな程狂わせていく___



「な、何でもなっ……」