なんでも、羽賀先輩は、
クレーンゲームが上手いらしくて。



教わってるうちに上手くなったらしい。



上手くなったと、夏川先輩は言ってるけど。



「だっ、ダメですって!
そんな簡単に貰えません!!」



一般論で考えると、
クレーンゲームはなかなか取れるものじゃない。



だから、
そう簡単に譲渡するものじゃないのに。



「俺の香り、ついてるかもしんねーけど。
このクマはやよいちゃんにあげんの」



夏川先輩は、そう言って私の手を取って。



そのクマを、私の手に持たせてきた。



「..................香りって、」



先輩が言った言葉を、
復唱するように、小さく呟くと。