亜季はそう言うと、隔離地域内で起こっている事情を説明する。

それは、耳をふさぎたくなる内容であった。


伯父はそれを真顔で聞いていたが、亜季が話し終わるとにっこり笑った。

「そう言うことならもちろんじゃ。幸い米などの農作物だけは山ほどある。好きに使いなさい。」

「ありがとう。」

そう言って台所の奥に走っていく姪の姿を、伯父は悲しそうに見送った。


どうして戦争は、いつも前途ある若者に苦悩を与えるのであろう。

あの戦時中もそうだった。