「まだ病原菌については、特定が出来ていないらしい。ただ…。」

「ただ?」

亜季は思わず問いかけた。


「ただ、発症した方がいるようじゃ。」

「え…?」

亜季は息を呑んだ。


発症・・・。

形容しがたい恐怖が、現実感を持ってのしかかってくる。


「で…、どんな症状なの…。」

「うむ…。」

伯父の言葉のトーンは落ち、歯切れが悪くなった。


「何せ隔離されているため詳しくは分からんが、高熱を発し、傷口から黒い発疹が全身に広がるようじゃ。」

「そう…。」

亜季はそう言ってうつむいた。


しかしすぐに顔を上げると、立ち上がって言った。