亜季は伯父の店に到着すると、入口のガラス戸を力まかせに開けた。


そのけたたましい音に、ガラスカウンターの向こうでじっとテレビを見ていた伯父が、ゆっくりと顔を上げる。

もう夜中の二時を回るというのに、伯父は寝ないで待っていてくれたのだ。


「おかえり。」

真夜中の来訪者を、伯父は柔らかい笑顔で出迎えた。


「ただいま。」

そう言うと、亜季は伯父の側に駆け寄った。


どうしてこの村の人たちは、こんなにも暖かいのであろうか。


「ねえ、伯父さん。何か分かった?」

「そう慌てるな。こんなに汚れて、可愛い顔が台無しじゃないか。」

伯父はそう言うと、店の隅にある手洗いでタオルを濡らすと、亜季に手渡した。


「ありがとう。」

そう言って顔を拭く姪の様子を見て、伯父の顔はほころんだ。


どうやらテツオ君とは出会えたようだ。


伯父は亜季が拭き終わったタオルをカウンターの上に置くと、テレビで確認した現状を話し始めた。