亜季は、来た線路を逆走するように、必死に走り続けた。


しかし真夜中の線路である。

何度も転んだし、亜季と同じように被災地に向かう人々ともぶつかった。


しかしひじをすりむき、ひざを怪我しようとも、亜季は走り続ける。

走らねばならなかった。


テツオが言うには、被災地では食料が不足しているようであった。

それは尾上の止血によって一命を取り留めたとはいえ、衰弱したテツオにとっては大変な問題である。

だからこそ、一刻も早く栄養のある食事を運んで、少しでもテツオに元気になってもらいたかった。