あたりの声に、土門は少し驚いて周りを見回した。

同乗者たちは、何かに引き寄せられるかのように、視線を一点に集中させている。


土門は、それらの視線の先を追った。


それらが集中している場所を認識すると、土門は思わず息を呑んだ。

そこには、電車に乗った時に何気なく見ていた、あの電光ニュースが流れているモニターがあった。


(… <臨時ニュース>東北…県の県庁所在地に、国籍不明のミサイルが着弾。多数死者が出た模様。政府は生物兵器の可能性があるとして、市全体を隔離。全ての通信網は遮断されているため、詳細は不明。…)

土門はしばらくの間、現実感の無いそのニュースを見つめていた。


しかし我に帰ると、慌ててスラックスの尻につっこんだ携帯電話を取り出した。

そして数時間前まで、普通に生活していた実家の番号を検索すると、急くように通話ボタンを押す。