その何気ない視界に、車両と車両を仕切る位置にある自動扉が入った。

さらには、その上に流れる電光ニュースに目が移る。


「ふむ…。」

土門は、そこに流れるニュースを何となく見つめ続けた。


昨日の国会における総理大臣の陳腐な答弁、プロ野球の結果、天気予報…。

正直どのニュースも真新しいものは無く、土門はつまらなそうにあくびをした。


どのくらいたったであろうか。

いつの間にか寝てしまっていたようだ。

土門はまだ眠そうに両目をこすると、ふと思いついて座席の下に置いた革のカバンを開けた。


そして、常備している眠気覚まし用のガムを見つけると、その包みをゆっくりと開けて中身を口に放り込む。


その時、車両の中がざわっ、とどよめいた。