亜季は、グランドの脇に覆い茂った日陰となる木を見つけると、その根元に座り込んだ。

そこから見るグランドは、金網の外から見るものとは全く違って見える。


高校時代のテツオはこの景色を見ていたんだ。

亜季はそう思うと、その顔は思わず紅潮した。


しかし反面、ある心配が首をもたげた。


さっき自分の姿を見たテツオは明らかに戸惑っていた。

強引に誘ったのは迷惑だったかもしれない。


亜季は思わず足元の夏草を、乱暴にちぎった。

心の中を、いろんな思いが駆け巡る。





その時、青空に何かがよぎった。