グランドで、黙々と練習を続ける高校時代のテツオに、亜季は話しかける。


どうして、そんなに君は一人で頑張れるのかな。

どうして、ひどいことを言う私に君はそんなに笑顔なのかな。

どうして、勝手に田舎を捨てる私に君は迎えに来るのかな。

どうして、無視する私にそんなに手を振るのかな。


私は都会では、がんばれなかったよ。

私は一人ではがんばれなかったよ。

私は何にもわかっていなかったよ。


そんな私を、あの頃の君は変わらない笑顔で迎えてくれるのかな。


大学になった君は、優しかった。

変わらなく優しかった。

その優しさが嬉しかった。


私、きっとテツオに会いたかったんだ。