どうしてあの日、見送るテツオに対して窓を開けて手を振ることすらできなかったのであろう。


テツオ、淋しかっただろうな。

ごめんね。


テツオ。



亜季は、力一杯手を振った。

テツオのぬくもりにつつまれながら。



でもその温もりに触れることはもう2度とないことを、亜季はまだこのとき知らなかった。