亜季は待ち続けた。


はるか前に一度だけ送られてきた手紙によると、テツオはこの駅から電車に乗って地元の大学に通い野球を続けているはず。

しかし亜季は返事を書こうともせず、そのため彼が今現在も大学に通い続けているのかさえ分からない。


第一もし通っていたとしても、もしかしたら今日は授業がないかもしれない。

この電車で一時間近くかけて通うことに嫌気が差して、学校の傍に部屋を借りているのかもしれない。


しかし亜季はひたすらに待った。

熱い太陽が天に昇ろうとも、額から汗が噴出そうとも、同級生を待ち続けた。

あまりの暑さに頭がくらくらしてきたが、それでも黙って待ち続けた。



亜季にとって、一番のふるさとはテツオだった。