あれほど胸を高鳴らせた黄色の満員電車も、希望に胸を膨らまして乗ってきた青色の寝台列車も、今の亜季にとっては、わずらわしいもの以外の何物でもなかった。

乗車している間ずっと大勢の乗客が周りを取り巻いていても、その中で亜季は一人ぼっち。



亜季はそんな孤独感に必死で耐えて唇を噛みながら、遠い田舎の駅を目指していくつかの電車を乗り継いだ。

言葉に出来ない孤独感に押しつぶされそうになりながら、亜季は1段目の寝台に腰をかけて、過ぎ行く田園風景を近くの窓から眺めていた。