自分は、まるで海に浮かぶちっぽけな木片のようだ。


ふるさとを断ち切り、新しい土地にも根を張ることも出来ない。

そんな自分を改めて思い知らされると、亜季の目からは大粒の涙が零れ落ちる。


その涙は拭っても拭っても、溢れ出てくる。


悔しいけれど、自分はあの何もない街で生まれ育ったんだ。




そして。




あの街が好き。