「わざわざすいません。お迎えに上がるべきだったのに。」

「全然かまわないよ。この辺りはよく知っているから。」

先輩社員は、細いシルエットのデニムに白いキャミソールを合わせた服装で、そう言ってにっこり笑う。

店にいるときよりもはるかに大人っぽく見えて、亜季は思わず見とれそうになった。


「あ、どうぞ、どうぞ。大した物ではないですが、お料理も用意したので。」

「ありがとう。あ、あとこれ。」

まりは、亜季の手にスーパーの手提げを手渡した。


亜季がその袋を受け取って中身を覗き込むと、中には何本かのビールの缶が入っている。

「やっぱり桜にはお酒だと思ってね。でも亜季ちゃんは駄目よ、未成年だから。」


亜季は笑顔で大きく頷くと、部屋の中へ案内をした。