その夜は、テレビも電話もない部屋で、亜季は布団に潜り込むしかなかった。

暗い部屋で初めて迎える一人きりの夜に、亜季は急激に今まで感じたことの無い寂しさと心細さを覚える。


自分が田舎にいる時、濃密な人間関係に嫌気がさしていた亜季は、一人きりが一番気楽であるだと思い込んでいたが、今になって初めてその認識に疑念を持ち始めた。

あまりの孤独感に、頑固な父親や優しい母親、そしていつも苛々させる田舎臭いテツオでさえいないよりましに思える。


しかし、すぐに頭を振ると、それらの思いを頭から追い払った。


明日から、きっと新しい仲間が出来る。

洗練されていて、尊敬できる仲間がきっと出来る。


亜季は半ば自分に言い聞かせるように、そう何度もつぶやく。


亜季は暗い天井を見上げた。