数日後、おびただしい数の自衛隊員によって、忌まわしいあの金網の上に一面の白い布が張られた。

その幕の向こうで何が行われているか、取り巻く民衆には薄々わかっていたが、誰一人声を発することなく、ただその白い面を見詰め続けていた。


日も傾きかけた頃であろうか、白い布は一斉に撤去された。

そして金網の一部が、巨大な重機で取り外された。


そのわずか数メートルの隙間に、家族だと思われる民衆は重い足取りで入っていく。