ふと、淡々と別のニュースを語っていたアナウンサーの前に、メモが差し出された。

アナウンサーは一瞬、そのメモに視線を落としたが、すぐに横目でスタッフに確認をした。


そのただ事ではない雰囲気に、亜季は思わず息を呑んだ。


「臨時ニュースです。」

空気を切り裂くような一言に、亜季は思わず隣に座る伯父の手を握った。


「本日、物資を投下する地点に、巨大なメッセージを発見。防衛医大は、それを病気に効果のある薬剤と判断し、その副作用を抑える薬剤調合を開始しました。」

亜季は思わず伯父の方を見た。伯父はそのシワだらけの顔でにっこり笑うと、亜季は思わずその胸に飛び込んだ。


テツオの命を懸けた試みは、ついに報われたのだ。