「何度だ。」

急かすように、北村はそう尋ねた。


看護婦は何度も確認するように体温計を見詰めていたが、やがて放心したかのようにぽつりと言った。

「37.4度です。」

尾上は心の中でぐっと、こぶしを固めた。


あとは断続的に起こる吐血と、黒い斑点だけだ。

尾上はテツオの右腕の傷口にまかれた包帯をゆっくりとはずした。


北村が固唾を呑んで見守る中、親友の手で包帯は全てはずされた。

その右腕を見ると、尾上は北村の方を振り返った。


「北村先生…。」

そう呟く教え子に向かって、北村は小さく頷いた。