「テツオ。生きないとどうにもならないだろう。亜季ちゃんに伝えたいことがあるだろう。」

尾上はそう言うと、テツオの左手をそっと額から離し、その顔をじっと覗き込んだ。


「俺は言いたくないぞ。自分で伝えろよ。」

尾上はそうつぶやいて親友の左手をベッドのシーツの上にそっと置くと、力なくうなだれた。




頼む。

生きてくれ。