尾上の見つめるテツオの姿は、以前の活力に満ちていたものとは、遠くかけ離れていた。

その頬は痛々しいほどにやせこけ、枕の回りに落ちる頭髪の量も日に日に増えていく。


体温は常に40度を超え、内臓も著しく傷つき、毎朝その吐血で汚れたシーツを取り替えるのが、数少なくなった看護婦たちの日課となっていた。

彼女らは文句ひとつ言わないで黙々と働いてはいるが、その顔には疲労の色が明らかに濃くなっている。


しかしそんな中、北村と尾上は一筋の光明を見出していた。

広がりゆく黒い斑点を止めることは出来ないものの、進行をやや遅らせる薬品を発見したのだ。