ぼんやりと映り始めたモニターの中の、思わぬ光景を見て、亜季は息を呑んだ。


「今朝のニュースを見た民衆が、総理官邸を取り囲んでシュプレヒコールを起こしています。」

その言葉を聞いて、亜季は気がついた。あの二人の映像が流されたのは、先ほどのニュースが初めてではなかったのだ。


官邸の前の中継で、ヒステリックに実況を繰り返すアナウンサーが、官邸の壁にしがみついて大きな声を上げている中年の男性にマイクを向けた。

「今朝のニュースを見られたんですか?」

その男性は、振り返るとマイクに向かって大声でまくし立てた。

「総理大臣は、あの映像を見て何も感じないのか!苦しんでいる人たちを見て、何もしないつもりなのか!あんたもおかしいと思うだろうよ!?」

「え、ええ…まあ・・・。」