翌朝、伯父の家で迎えた朝は、昨日のことなど嘘であったかのように、穏やかなものであった。

レースのカーテンから差し込む夏の光は、優しく亜季を包んでいた。


亜季が体を起こすと、壁に泥だらけであった服が綺麗に洗濯されてかけられていた。

何から何まで世話をしてくれる伯父に、亜季は心の底から感謝した。


亜季は長すぎるシャツの袖をまくると、伯父に借りたぶかぶかのトレパンの裾を引きずりながら、その持ち主のいる店に向かって廊下を歩き始めた。


「ああ、おはよう。ゆっくり眠れたかな。」

「うん。ありがとう、伯父さん。」

そう言うと、亜季はつけっぱなしにしてあるテレビの前の丸椅子に腰をかけた。


その様子を、接客カウンターの向こうで、優しい目をした伯父が見つめている。