その必死の声に、亜季に背を向けて金網にもたれかかるテツオは、苦しそうに振り返った。

その見たことのない憔悴しきった顔を見て、亜季は息を呑んだ。


テツオは振り返ろうともしないまま、うなだれてぽつりと言った。

「ホームにはいけないかもしれん。」

はき棄てるようにいうテツオの言葉に、亜季の魂はえぐりとられた。

「…!」

亜季は絶句した。

そのあまりの衝撃に、思わず腰が砕けて両膝を突いた。


そう、遠目から見てもわかる。

テツオがめくって見せる包帯の下には、どす黒い斑点が現れ始めていた。


「どうして…。」

「…。」

「どうしてよ!!!」

亜季は泣き崩れた。